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HOMESSの記事
2024-05-03-Fri 18:44:01 │EDIT
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2008-03-16-Sun 12:38:12 │EDIT
冬コミと大阪で配布した無配SS(カイミク)折りたたんでます。
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2008-02-28-Thu 00:31:24 │EDIT
自宅―――半仮想になっているマンションの一室――――に入ると、微かに甘い匂いが漂ってきていた。
ほぼ毎日弟が食べているアイスクリームとはまた違った匂い。
バニラエッセンスのそれでもない。MEIKOにとっては嗅ぎなれた、その甘さを含んだ香り。



薔薇の歌姫




「ただいまー」
「おかえりめーちゃん」
ダイニングでMEIKOを迎えたのはキッチンスペースで甲斐甲斐しく動きまわるKAITOだった。
「あら、ミク達は?」
「レンが、酒の匂いにやられちゃってね。換気終わるまでは様子見させてるよ」
丁度ネギを切るところだったらしく、ネギでレンの部屋を方を指し示しながらKAITOが答えた。―――ミクでなくKAITOがネギを持つ姿も中々新鮮なものがあるな、とMEIKOは内心笑った。
最近発覚したことだが、末弟のレンは酒にとにかく弱く、匂いだけでも酔ってしまうことがある。
「今日の夕飯、粕汁か何か?」
「うん、ちょっと惜しい。石狩鍋にしようかなって」
いつものように冷蔵庫に直行し、開けながら問う。
いつものように、常飲の酒を取り出そうとしたその手は、思わず止まってしまった。
一番好きな銘柄―――静岡の某地酒の大吟醸が冷やしてある。
「……KAITOこれって」
「んー。リビングのテーブルの上、見た?」
「え?」
慌てて、ダイニングキッチンと続きになっているリビングを見やると大きな薔薇の花束が置いてある。冷蔵庫を閉め、花束に駆け寄った。

花束を持ち上げる手が微かに震えるのが、何故か悔しい。
金の縁取りがしてある、薄いピンク色のカード。
メッセージには、

To the diva of the rose.
Happy Birthday

差出人の名は、ない。けれど、MEIKOには、その送り主が誰かは解る。「彼」だ。
「……キザね。まったく」
「薔薇より早く、お酒に気付くなんてめーちゃんらしいけどさ。」
「うっさいわね、バカイト」
潤んだ目を見られたくなくて、顔を花弁に埋める。
「……『あの人』らしい、プレゼントだね。良かったね、めーちゃん」
心なしいつもより優しいKAITOの声に、MEIKOは花弁に顔を埋めたまま頷いた。

華やかで、それでいて優しい香り。
「MEIKOのイメージは真紅の薔薇だな。」
と繰り返し云っていた『彼』の声は、今でもメモリーの中に鮮明に残っている。
だから、それでいい。
これだけで、自分は幸せになれる。

微かに浮かんだ涙を拭って顔を上げると、KAITOはそ知らぬフリで、鍋の仕上げをしていた。
アイスと……何よりもミクが絡むと『バカイト』と化す愚弟ではあるが、中々どうして聡いものだ。見て欲しくないと思っていたことは汲み取ってくれているらしい。
(まぁ、アタシの双子プログラムであることだし?)
「……ねぇ、花瓶ってあったっけ」
「あるよ。……って、めーちゃんが生けるの?」
あからさまに驚いた様子で顔を上げたKAITOに、MEIKOはムッとした。
「アタシがやりたいんだもの」
「いや、そのキモチは分らないんでもないんだけどさ、めーちゃん花の生け方、分かる?」
「………。」
確かにKAITOの言い分は尤もで、MEIKOは花を抱えたまま言葉に詰まった。
KAITOは火を止めて、外していたインカムを黒いエプロンのポケットから出して装着した。
「……ミク、レンの様子どう? …うん。それじゃリンに任せてこっち戻ってくれる?」
なるほど、ミクに手伝わせるつもりらしい。
「……自分の贈った花束を、他の男が触るのって『あの人』嫌がりそうじゃない?」
「そりゃ、アンタの感覚よ、……」
脱力してると、ミクがダイニングに駆け込んできた。パステルグリーンのエプロンが可愛らしい。
「あ、おねーちゃん!お帰りなさーい!」
軽く飛びついてくるミクの頭と花束を抱えていないほうの手で撫でると嬉しそうに笑う。
去年まではいなかった妹達の存在が、シアワセを倍以上に感じさせてくれる。
「ね、ミクこの花束生けるの手伝ってくれる?」
「うん! ……えっとお兄ちゃん、料理の方、大丈夫?」
「大丈夫、そのために戻ってきてもらったんだしね?」
いっておいで、とミクを見つめるKAITOの視線に、軽いデジャヴを感じながらも、MEIKOは洗面室にミクを促した。















とりあえず、ここまで。(今日一日でどんどん上書きする予定。)。

…って今改めて調べたら、違うじゃんめーちゃんのデビューって11月だよorzなんで2月27日と思い込んでいたのか謎なので、お祝い損ねた11月分として個人的祭を開催中……。



2008-02-18-Mon 18:46:25 │EDIT
まとめて読みたい方は「こちら」からどうぞ。
2008-02-17-Sun 22:14:33 │EDIT
「おはよー」
「おはよー、お姉ちゃん」
「おはよ、めーちゃん」

 ふわぁ、と欠伸しつつダイニングキッチン<共有スペース>にMEIKOが入ると、珍しくKAITOとミクが朝から二人でキッチンに立っていた。―――『五兄妹』の中で料理が出来るのはこの二人(だけ)なのだが、KAITOは朝が苦手で、通常、朝食担当はミクが務めている。
 こんな朝早くにKAITOが起きている、ということは――――。
「昨夜はよく『眠れた」ようね?」
「ええ、それは大変キモチよく。『お陰様で』、『お姉さま』。」
 ミルクを温めながら、MEIKOを振り返って笑んだKAITOの目は心持ち赤い。
 案の定眠れなかったらしい。
「ミクも?」
「うん、ありがとう、お姉ちゃん!」
 フルーツサラダをダイニングテーブルに並べながら笑うミクは全く屈託ない。
(よしよし、一応我慢はしてたようね、KAITO)
 実際の処、もしも万が一、ミクの悲鳴でも聞こえてきたならば、急行して抹殺してやらねばと考えていたMEIKOである。
 廊下を駆ける足音が響いて、KAITOの部屋の方からドアの開閉音がした。
 あれー、カイ兄いないねぇーと、綺麗なユニゾンが聞こえてきた。

「もう起きてるよ、朝ごはんできてるからキッチンにおいでー」

 KAITOが声を張り上げると、ええーっとこれまたユニゾンでの応えと共に、足音が再度響き、リンとレンがダイニングキッチンに駆け込んできた。

「おはよー! カイ兄、誕生日おめでとう!」
「おはよー! KAITOお兄ちゃん、誕生日とバレンタインおめでとう!」

 双子が左右から飛びつくが、それを予期していたのか、KAITOはレンジの火を止め、ミルクパンからも体を離している。――――随分と『兄』らしくなったものだと、新聞を広げながら、MEIKOは笑った。そして今更ながらに、自分はいい忘れていたことに気付いた。

「誕生日、おめでとうKAITO」

 リンとレン、それにミクを纏わりつかせたまま、KAITOは応えた。

「ありがとう、めーちゃん」


 朝食中、お替りのカフェオレをMEIKOに差し出した向かいに座るKAITOが、低く呟いた。
「プレゼントは、もうちょっと考えて欲しいなぁ。……嬉しかったけど。」
「そう……?」
 MEIKOは新聞から目を上げて、KAITOに視線を移す。
 いつになく、カフェオレではなくホットショコラを飲んでいるKAITO。それを作ったのがミクであることは、昨日レシピ(リキュール抜きの)を教えたのが自分であるのだからMEIKOにはお見通しだ。


「贅沢いうんじゃないのよ、シアワセモノが」




終わり

 

 


 
2008-02-17-Sun 01:39:12 │EDIT
 布団に入ると、KAITOが背を向ける間もなく、ミクは当たり前のようにすりよってきた。そういえばミクがまだ幼体の頃にこうやって寝ていたか。

 腕の中の温もりは変わりないが、大きさと重みは随分変わったな、と思っているとミクがふと呟いた。
「なんだかこうしてると安心する……」
「そうかい?」
「うん……。あ、そうだお兄ちゃん」
「うん?」
「お誕生日、おめでとう」
「え?」

 時計を見ると、0時を回った所だった。
 そういえば、今日は2月14日――――バレンタインで、Y社側での誕生日、だ。

「一番に云えて良かったぁ……」

ふにゃと微笑んだミクはぎゅっと更に抱きついて来た。

「……ありがとう、ミク」

(なるほど、これがめーちゃんからのバレンタインチョコ兼誕生日プレゼントってことか……)

 かといってこのまま『戴いて』しまえば、明日の夜を迎えられないことは必至。プレゼントなんだか新手の嫌がらせなのかは微妙なラインだ。

ミクは半分眠っているようで次第に、言葉が不明瞭になっていく。

「……どして?」
「ん?」
「ど……して、おに……ちゃんて誕生日、2つ、あるの?」
「ギリギリまでY社にいたからね。14日はY社でカプセルを出て成人した日、17日はCFM社で最終調整してデビューした日だよ」
「そ……な、んだ」
「おやすみ、ミク。俺はどこにも行かないから」
 額に口づけ、抱き締める腕にわずかに力を込めると、ミクは安心したように微笑んで、瞼を下ろした。

 微かにまだ香るチョコレート。
 腕の中の柔らかで温かな……成長したたとは云え、KAITOに比べれば小さな体。

(眠れる筈……、ないよ、なぁ……)

 無邪気な寝顔を見つめながら、KAITOは深く息を吐いた。
 









プロフィール
HN:
木幡朝歩
性別:
非公開
自己紹介:
まったり同人屋。
ある日いきなりKAITO兄さんにラブ。
本業は文章書きの為、絵はへたれ(努力中)

本館にはリンクの「棲家」からどぞ。
主張

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