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主にVOCALOID

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2008-01-22-Tue 19:58:29 │EDIT
明確な事は何一つ覚えていない。
大量に流れ込んでくる情報の中で、時折朧気に夢を見た。
微かに思い出すのは、夜明け前の蒼い闇色した髪。温かで大きな腕の感触。
それから。

自分の名を呼ぶ、少し低めの優しい声。




ボーカロイドはペパーミント・ブルーの夢を見るか?(6)




「ミク」
『姉』のMEIKOに呼ばれ、ハッと顔を上げる。
心配そうにこちらを見る鳶色の瞳に、また考え込んでいたのか、と反省する。
「ごめんなさい、お姉ちゃん……。」
「疲れた? ぶっ通しだったものね、ここんとこ。」
目の前のデモ曲の楽譜。
歌うのは楽しい、大好きだ。だから、巧く歌えないことがもどかしい。それと同時に何かが足りない気がしてならない。
そんな時に、表層に浮かびあがってくる記憶〈メモリー〉の欠片。
デバッグすれば消えてしまうそれ。
だがミクはそれをする気にはどうしてもならなかった。


「気分転換でもしよっか? 実は静岡のY社ラボから面白いもの送られてきてるのよ?」
「?」
静岡のY社ラボと云えば、目覚めてから一度も会ったことがない『兄』のKAITOが今、再調整で戻っていると聞く。
「もしかして、それは……」
「ま、聴いてからのお楽しみ。」
MEIKOは軽くウインクしてから、軽く指を動かして音声ファイルを呼び出した。


サイバースペースに響きわたった歌声に 、思考という思考を全て持って行かれた気がした。
透明で少し甘さを含んだ男性の歌声。
伸びの響きが自然で、本当に人間が歌っているのかと錯覚するほどで……。

「まだ調整途中だって云うのに、やるじゃない、KAITO。……って、ミク?!」

MEIKOがギョッとしたようにこちらを見ているのが分かるが、それは薄い幕越しに見ているようで不明瞭だ。
「はい?」
応えた声は掠れ、小首を傾げた拍子に頬を何かが流れる。
(あ、あれ……?)
慌てて頬を触ると濡れていた。
「泣くなんて、どうしたの?」
「泣く……?」

髪の色や瞳の色と言った外見を除き、限りなく人間(特にモンゴロイド)に近くなるように基本構成が組まれた、半有機体プログラム―――VOCALOID。涙を流せることは、VOCALOIDとして「成人」したミクは当然の事として理解していたけれど、実際こんな涙を溢したのは初めてだ。
どこかが痛いわけじゃない。悲しいわけでもない。

ただ、この『兄』の歌声が凄く綺麗で、技術も素晴らしくて。それ以上に、懐かしくて、胸が苦しくなって……。
記憶の断片の自分を呼ぶ声と重なって、涙が自然と溢れていた。

後から後から、溢れてくる涙は、ミクがいつものように処理演算コードを走らせても一向に、止まらなかった。
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2008-01-19-Sat 14:24:06 │EDIT
ボーカロイドは~をがっちゃんこしました。
WEB拍手でコピー本の表紙加工と中身1Pみれます。(どちらかはランダム表示されます)
ピアプロに下記習作UP
ピアプロで探してみてください…ーー;
2008-01-14-Mon 22:55:11 │EDIT
若干冊数残っております。通販開始しました。
完売につき終了しました。新刊の通販は3/24~
くわしくは本館の同人ページで。
2008-01-11-Fri 20:08:29 │EDIT
コピー本が相当ヤバく、原稿抱えたままで大阪入りになります。(コンセント使用できる席!で新幹線の予約入れるのも どうかと)
ちなみに同宿の友人もヤバい状態で、友人、コピー機まで持参です。ええ便乗します。
久々に宿が家内制手工業の工場化するですよ。笑うがいいさ、前回知ってる友よ……。

というわけでボーカロイド~夢を見るか。は月曜日までお休みです。


意地でも出すカイミク(というか五兄妹)本。余れば(というか余る筈)通販検討。
無配は冬に配布したのと同じものです。
1/13 C.city大阪(インテックス大阪)
6号館Aゾーン ヤ24a CallMyName

↑のだめスペースです。音楽くらいしか共通点はないのですがよろしければ覗いてやってください……。

2008-01-09-Wed 19:43:34 │EDIT
最後に君と一緒にみたのも、薄紅色の桜だった。
限りなく白に近いその中で、ペパーミント・ブルーの独特の色した君の髪はやっぱりよく映えていた。

いつかこの中で歌おう、という約束は俺だけでも覚えているから、それでいい。




ボーカロイドはペパーミント・ブルーの夢を見るか?(5)




今年も浜名湖畔の桜が咲いた。
昨年は二人で見ていた桜を今年はKAITO一人で見ることになっている。

昨年のこと。結局一週間の予定が3週間になった。MIKUと共に北海道のCFM社に戻り、MIKUが育成カプセルに入る頃には北海道にも遅い春が訪れていた。桜が満開の中、カプセルに入ったMIKUの小さな手に、最後の外出の時に拾い上げた桜の一片が握られていた事を気づいている者もいたが、それは恣意的に見逃されたようだ。

「KAITO、CFM社に戻らなくて良いのか? MIKUはもう起きているんだろう?」
『先生』の言葉にKAITOは微笑んだ。
「もうMIKUではなく、ミクですよ。初音ミク。16歳のM型成長タイプ。外見デザインはY社名機のシンセサイザーの一つから起こされている。」
『先生』はわずかに驚いた顔をした。
「知ってたんだな。てっきり……、」
「俺が情報を遮断して、知らないようにしてた? ……そんなことしませんよ。」
「じゃ、どうして会おうとしないんだい?」
「最終調整の指導役はめーちゃんですから。……めーちゃんね、『MIKU』に会うのすごくすごく我慢してたんですよ。」
 まだ成長途中で、不安定な存在でもある幼体ボーカロイドの教育が二元化するのは、好ましいことではない。
 MEIKOは自分の性格からして、会えば口を挟まずにはいられなくなる、MIKUがカプセルに入るまではと、仕事の多忙(実際そうだが)を口実に会わずにいたのだ。

「だがミクはもう完成体だろう?」
「最終調整が終わるまではそうもいかないでしょう。まだ不安定因子(バグ)が残っています。」

 そう答えながら、KAITO自身は本当は解っている。CFM社に今は居たくない本当の理由。それは、直接ミクの記憶が無くなっていることを確認したくないからだ、と。

「……それに、こちらの方々に課題曲ももらっていますしね。これはちゃんと歌いきりたいんです。」

「……解ったよ。やれやれ案外頑固だな、君は」
「そりゃ、あのMEIKOとのツインプログラム(双生児設計)ですからね。基本構造」
プロフィール
HN:
木幡朝歩
性別:
非公開
自己紹介:
まったり同人屋。
ある日いきなりKAITO兄さんにラブ。
本業は文章書きの為、絵はへたれ(努力中)

本館にはリンクの「棲家」からどぞ。
主張

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